当サイト(uzurea.net)にも寄稿を行っている本間本願寺(ほんま ほんがんじ)氏が参加する、エレクトロニック・ロック・バンド『Bigfire(ビッグファイア)』。
同バンドは、全16トラックを収録した2枚組CD『Deathcotheque the Album』を2019年に発売し、その2年ほど後になる2021年の夏、同名のバイナル(レコード)エディションをリリースしました。
アナログレコードがリバイバルしているとはいえ、音源を自力でリリースしていしまうアーティストはまだまだ少数派という事もあり、本間本願寺氏に本人に話を聞いてみました。
Bigfire - Deathcotheque the Album 12" vinyl edition 発売について
森須 信号(以下 森須):レコード版『Deathcotheque』の発売おめでとうございます。 読み方は『デスコテック』で合っていますか?
本間本願寺(以下 本間): ありがとうございます。 はい、読み方はデスコテックです。
森須:CD版から遅れる事2年位(※)の発売ですが、どうしてこのような時期になったのでしょう?
※冒頭にも記載したが、2枚組CD版の『Deathcotheque the Album』は、先んじて2019月11月13日に発売している。
本間本願寺(以下 本間):本来は、CD発売の翌年くらい(2020年の半ばごろ)の発売予定だったんです。 でもアメリカ、カリフォルニア バニングで大きい山火事(※)があった影響で、ラッカー盤工場であるApollo Mastersが被災、全焼する事故があって……
※アナログレコードの原盤製作に用いられるラッカー盤を供給している企業は全世界でわずか二社しか存在しないと言われており、Apollo Mastersはその一社。
本間:その影響で世界的にラッカー盤の供給不足になりました。 あと、コロナ渦の影響もあってレコードのプレス工場もあまり稼働していないような状況が続いて。
本間:大きいところ(レーベル、企業)はそれでも色々と対応していたんだと思うのだけど、我々インディーズレーベルの場合色々と後手に回って割をくってしまったというか。
森須:あー、なるほど。
本間:まあ、紆余曲折・右往左往あったのですが、制作スタッフや、プレス、流通さんにもご協力いただいてやっとリリースできたという感じです。
森須:いろいろと、大変だったようですね(笑)
本間:はい。 で、なんやかんやの末、この夏(2021年7月)にようやく日本国内発売できて。 海外でも8月には一般発売されたと。
CD版、レコード版の比較
森須:では収録内容について。 CD2枚組のアルバムと同タイトルのレコード1枚になってるという事で……その違いを教えてください。
本間:CD版はDisc1にリミックス7曲を収録し、Disc2にオリジナル9曲を配するという仕様です。
本間:12インチレコード版は、Hirugano(オリジナル)、Hirugano(Marshall Jefferson Remix)、Apostate(Jammin Gerald Factory Remix)、Sustainment(K' Alexi Soulful Remix)の計4曲をシングルカットしてます。
タイトル | Deathcotheque the Album (CD版 2枚組) | Deathcotheque the Album 12″vinyl edition |
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収録内容 | - Disc 1
- Hirugano
(Marshall Jefferson remix) - サスティンを
(K' Alexi Shelby Remix) - Apostate
(Jammin Gerald Factory Style Mix) - Apostate
(Jammin Gerald Factory Style Mix 2) - サスティンを
(K' Alexi Soulful Remix) - Apostate
(Jammin Gerald Acid Mix - Hirugano
(Marshall Jefferson Dub Mix) - Hirugano
(Marshall Jefferson Radio Edit)
- Disc 2
- Flaw
- Hirugano
- Lannes
- Deathcotheque
- Contre Attaque
- Eastern Christ
- Apostate
- Theme
- サスティンを
| - Side-A
- Hirugano
(Marshall Jefferson Remix) - Apostate
(Jammin Gerald Factory Style Mix)
- Side-B
- Sustainment
(K' Alexi Soulful Remix) - Hirugano
(Original)
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本間:マスタリングもCD版と違って全曲Chester Beattyによる12インチ用の特別仕様で。 Hirugano(オリジナル)も、Chester Beattyによる12インチ用のミックスです。
森須:となると、収録している内容はほぼ違う……という事でしょうか。
本間:はい。 CD版も自信作だけど、レコードはその中からさらに厳選した3曲とオリジナル1曲をリマスターした上でのシングルカットという事で。ぜひ手に取って聞いていただきたい、と。
森須:では、この辺りに購入リンクとか貼っておいてもらいましょう。 編集さんよろしくおねがいします(笑)
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リミキサー、アートワーク 参加アーティストについて
森須:では折角なので、リミキサーを担当された面々ついて、解説していただいても良いですか?
本間:はい。
Marshall Jefferson (マーシャル・ジェファーソン)
Marshall Jeffersonは、シカゴ・ハウスシーンにおける最初期からのキー・プレイヤーであり、ハウス・ミュージック史における最重要人物のひとり。
とくに、シカゴ・ハウスを代表するレーベルのひとつTRAX Recordsからの一連のリリースは、TRAXをシカゴ最高のレーベルとして確立する契機ともなり、ハウス・ミュージック史においても非常に高く評価されている。
以後、長年に渡ってハウス・ミュージックの進化に努め、1987年にはPhuture『Acid Trax』をプロデュース/ミックス。現在まで幅広い人気を博すアシッド・ハウス・ムーヴメントにも先鞭をつけたことでも知られる。1988年にはBig Beatより『Open our Eyes』をリリース。この曲も後にディープ・ハウスと呼ばれる音楽の先駆けとなる。
ちなみにPhutureのオリジナルメンバー、SpankyことDJ Spank Spankは同じくPhutureメンバーであるLothario Leeと共にビッグファイア『宇宙大元帥Ⅳ』(2016)にもリミキサーとして参加。 2016年9月に死去したので、同リミックスが遺作となってしまった。
K Alexi (K・アレクシー)
80年代半ば、10代の頃よりFrankie KnucklesやRon Hardyなどのハウス・ミュージック・レジェンドと交流を持つK Alexi(K・アレクシー)。1989年、デトロイトのレーベルTransmat『My Medusa』のリリースで知られるように、シカゴ・ハウスのみならず、デトロイト・テクノのアーティストとしても名高い。
Transmat主宰のDerrick Mayのみならず、Pet Shop Boys、Larry Heard、Robert Owens、Felix Da Housecat、さらにはWill Smithなど、非常にユニークなアーティストたちとのコラボレーションも多数。
ちなみに、やはりビッグファイアのマキシシングル『Étoile』(2015)でもリミキサーとして参加いただいた。
Jammin Gerald (ジャミン・ジェラルド)
Jammin Gerald (ジャミン・ジェラルド)は、シカゴハウスを象徴するレーベルDance Mania Recordsのエースとして知られ、DJ Funkとの共作でも有名。
自身の作品に『Factory』の名を冠するのを常とし、本リミックスも『Jammin Gerald Factory Remix』となっているのが嬉しい。
ビッグファイア・バンドマスターである本間本願寺とは2014年、英国はグラスゴーのDance Mania主催イベントで共演。このときGeraldに本間本願寺の4デッキDJプレイを褒められた事は快然たる思い出であり、サインを交換した。
Chester Beatty (チェスター・ビーティ)
Chester Beatty (チェスター・ビーティ)の楽曲は、過激なまでの音圧と躍動感からEQ MELTERと称され、Robert ArmaniのCloned Vinylからのリリースに始まり、ドイツ最重要レーベルTresorからのアルバム・リリース等でも知られる。
また、シカゴ・マスターの異名を取り、DJ FunkとのDa Royal Funkstaとしての活動も印象的。
彼にも、ビッグファイア『Étoile』(2015)でマスタリング/ミキシングで全曲に参加していただいた。
岸大武郎 (ジャケット アートワーク)
ファーストEPの頃から、ビッグファイア作品の全てのジャケット・イラストを手掛けていただいているのが、岸大武郎(きし だいむろう)先生。
1983年『21世紀の流れ星』で第26回手塚賞準入選を経て、1985年『週刊少年ジャンプ(集英社)』掲載『水平線にとどくまで』で第29回手塚賞入選しデビュー。 1988~1989年にかけ、当時の週刊少年誌随一の圧倒的な画力をもって、恐竜マンガの金字塔『恐竜大紀行』、1990~1991年に不世出の天才学者、南方熊楠の前半生の孤高を描いた『てんぎゃん -南方熊楠伝-』等の印象的な作品を週刊少年ジャンプに連載、ひときわユニークな作風をもって全盛期のジャンプを彩る個性的なマンガ家のひとりとして知られた。
以後も秋田書店や新潮社の漫画雑誌を中心に作品を発表し、近未来的SFマンガや、科学的知見を応用したサイエンス・マンガの名手として好評を博している。
2021年9月、久志本出版より初期短編集『SOS! ムシムシ探偵団』発売予定。
森須:ありがとうございました。 皆さん『ムシムシ探偵団』、買いましょう。
森須:ちなみに、これは興味本位でお聞きしたいのですが、過去のリリースでも岸大武郎さんがずっとジャケットを描いているし、リミキサー陣もすごい人達の名前が連なっています。 本作でも海外の有名アーティストが参加しているという事で……そういうのは、どうやってオファーしてるんですか?
本間:まあ(笑)。 メールだったり、直接会いに行ったり。
森須:まあそうですよね……、面白そうなので、今度そのあたりの話も聞かせてください。
本間:はい、機会があれば。
森須: やった。 ありがとうございました。
あとがき……
駆け足となりましたが、以上が本間本願寺氏の参加するバンド『Bigfire(ビッグファイア)』の最新リリース情報です。
バンドとしての活動の他、テクノ/ハードグルーブミュージックのトラックメーカーとしても活躍し、さらに当サイトにも時々寄稿をしているという事で……忙しいであろう中、お話を聞いてみました。
リミキサー陣や、ジャケットイラストなどの大物アーティストへのオファーの仕方や流れといった所も聞いてみたかったのだけど、あまり記事の趣旨と離れてもしかたないので、そのあたりはまた機会があればという事で。
なお、ビッグファイアは、現在次のアルバムも準備中だそうで。 早ければ2021年内にもリリースする予定とのことですので、今後の動向にも注目したいところ。 応援しています!
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